スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 2013.01.07 Monday
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

KYOTO

相変わらず雨の勢いは収まる気配がなかったが、
カフェを出る頃にはコートも乾き気味になっていた。
鳴らないiPodの代わりに、夕暮れの生活音を聞きながら
ふたたび精力的に廻ろう、という気にはなっていた。


雨を避けアーケード街に入ると、
僕の好きな佇まいの店をいくつか見つけることができた。
とりわけ古本屋とそれに携わる人の装いが僕にはたまらず、カメラを向けた。

ほとんど本を読まない僕が
佇まいだけで惹き付けられるのは奇妙なことだが
足を止める人の数で、おそらくそれは証明ができるだろう。


自転車を返す時間が迫った僕は、廻る場所を烏丸方面へと移した。
そちらでも古い建物を改装した面白い試みがいくつかあったからだ。
雨対策の装備をして自転車にまたがり、naviによるとおおよそ20分の移動と知る。

日が暮れてからの京都の街並はライトアップされ、別の表情を見せていた。
三車線でも窮屈そうな道路状況を颯爽と走るのは、朝の開放感とは違う楽しみがあった。


細い路地の室町通りに入り、小学校を改装した京都芸術センターに到着した。
濡れたフードを脱ぎ、受付の青年に入場と撮影の許可について尋ねる。
すると、南館は開放しており個人撮影程度であれば写真も大丈夫だと言われた。
京都の中でもカメラに気を遣わなくていいところは数が少ない。
僕は堂々とカメラを持ち南館へと進む。

さすがに平日の夕暮れ時には僕以外の客はおらず、
シャッター音と自分の足音だけが校舎に響いていた。


北館の教室は一室一室が制作室になっていた。
思わず地元のYOTUBABUNKOやatelier七緒を彷彿とさせ、
「とりあえず、何かやろう」という気にさせられた。
場所を選んでつくる人とそうでない人がいるのは理解しているつもりだが、
僕はそういう場所はある方がいいと思った。


室町通りには、ほかにも気になる店があった。
今回の旅の目的は、自社の店舗としての在り方を知るためでもある。
そういう目線で見ても、この通りに位置する店舗は様になっている。


雨に濡れた石畳の反射であったり、ストライプにした暖簾のトーンであったり、
そういう日本人の持つ繊細さをもっと普段から意識しておきたいと思わせられる。
そういうところが当たり前に備わっているところが京都なのだろう。


若者がつくりあげるものも嫌みがなく美しかった。
奇を衒わずに、自然とそこにありながら目を惹かせる難しさ。
小さな居酒屋にも、僕はシャッターを切らずにはいられなかった。


Cely

Rose flower

明くる日の夜には、ひとり京都に向かった。
紅葉の京都は一年で最も人の多い時期で、
行き当たりばったりでホテルを探すのにもひと苦労した。

kyoto2010_8.jpg

一泊して気持ちを新たにした僕は、
三条駅付近で一日1,000円の自転車を借り、気ままに走らせた。
自力で進んでいく開放感でそのまま勢い良く飛び出したのだが、
下り坂の天気予報を受け、ニットキャップの上からモッズコートのフードを被り、
右ポケットにiPhone、左ポケットに借り物のiPodを入れ、
リュックにガイドブックとカメラを仕舞い込み、ペダルを漕いだ。

見知らぬ土地で人の選曲を聞くのは慣れないことだったが、
くるりがこの街にはやはり似合っているように思えた。


偶然通りかかった京都大学が大学祭を行っていた。
十年前の学生時代を思い返し、思い切ってキャンパスに足を踏み入れる。
すると、プラカードを掲げたり、思い思いの衣装に扮した学生たちが
方々に愛想を振りまいていた。

キャンパス内には趣のある場所も勿論あるのだが、
祭に張り切る学生特有の雰囲気に食傷気味になり、足早に立ち去ることにした。
僕は昔からそういう類いのことが合わない性分だったことを思い出した。

kyoto2010_6.jpg

そこから、右ポケットの中のiPhoneでnaviしながら走り、
恵文社ガケ書房〜銀閣寺を見て廻った。

個性的な書店で僕が持ち帰ったのは、イヴェントのフライヤーばかり。
そう言えば、数年前に京都を訪問したときに持ち帰ったフライヤーも
まだ部屋の片隅でときどき見かけることができる。

kyoto2010_1.jpg

おそらく県外客であろう人ごみを掻き分け銀閣寺を廻っていると、
ついに大粒の雨が降り出した。
傘をさす人が増え、さらにゆっくりとした歩みに、
参道の帰り道の混雑は増していった。

僕は旅の経路を変え、自転車でも走らずにいい廻り方を設計しようと
目当てのCAFE INDEPENDANTSを探すことにした。
普段からcafeを利用することがない僕でも、唯一興味を持ったのは
このcafeの入る1928ビルが京都市登録有形文化財でありながら、ギャラリーも含め
古さを生かすような使い方をしていると知ったからだ。

kyoto2010_12.jpg

自転車の運転で前面が濡れたしまったコートとショーツ姿の僕は、
案内のまま席に座り、iPhoneとiPodの残りの電池を確認した。
常にnaviを使っていたiPhoneの残量は半分になり、
iPodはその確認の途中で電池が切れてしまった。

ニットキャップを脱ぎ、若干濡れた髪の毛をそのまま掻きあげていると
遅めのランチはギリギリまだやっていると店員に告げられた。


思いのほかゆっくりできたこのcafeは
退廃的で男性的で居心地のいい空間だった。
床に貼られたタイルの柄から手洗いの蛇口まで、
このビルの持つ年月による“あじ”は、ズルさの連続だった。
レコード屋が併設されていることもそれに拍車をかけていた。

食後のコーヒーを味わって飲めない僕は、
仕方なく頼んだロックウィスキーの氷を溶かしながら
雨の京都のどこを見に行こうか、とガイドブックに目をやった。
周りには集団の女性客ばかりだった。

kyoto2010_10.jpg


Cely

Night By Night

空港を後にした僕は東堺に住むminovskyと合流した。
彼の存在があるからここに来たのも多分な理由だが、
僕は大阪に特別な感情を抱いている。
それは高校のときに読んだD-ASHという漫画の序盤にあるエピソードからだ。


ー小学生の主人公・司が想いを寄せる紗英が交通事故に遭い、
 歩行の難しい彼女は大阪へと引っ越すこととなる。
 「誰よりも速く走る」そのことを彼は彼女に誓い、別れの時が来る。
 彼は彼女との約束を想うまま高校生となり、免許を取得する。
 そして彼はある人から車を借り、大阪へと闇雲に車を走らせる。
 当然、宛てのない彼は、とりあえず目立つ空中庭園へと向かうのだった。ー

僕とminovskyはこの漫画を共有し、よくこの話をしていた。
高校生のときに憧れていたシチュエーション、ロケーションが目の前にあるのだ。
「ひとりでは行きたいとは思わないけど、ついでで行ってみようか。」
アルコールの入った僕たちは少しノスタルジックになり、行くことを決めた。



おそらくバブル期に作られたであろうこの建物では、
今の時代にそぐわない大掛かりな演出がなされている。
高層の夜景に浮かぶ、行き帰りの交差するエスカレータは
見上げると、当時読んだ漫画の雰囲気そのままだった。


ー高層のエスカレータですれ違う紗英を見かけた司は逆走し、彼女を追いかける。
 しかし再会することはできず、彼の大阪の旅は終わりを迎える。ー


辿りついた展望室は六本木ヒルズにも決して見劣りしない眺めだった。
ペアーシートや簡単なバーまで用意がされている。
金曜の夜は客の入りもそこそこに、若い男女の姿が目立った。


僕が高校生のときに夢見ていた“大人になってやりたいこと”は、
その多くがもうできているのかもしれない。
でもそれは、決して今やりたいこととは限らない。
年を重ねそれに気付くこともまた、
最初から約束されていたことなのかもしれない。



Cely

Flyght to Osaka

いつ飛行機に乗ってもドキドキする。
涼しい顔を装うが、あの揺れは如何せん克服がし難い。
ジェットコースターなんていくらでも平気なのに。


ただ、そのドキドキがいいのかもしれない。
ヘッドフォンから聴こえる機内番組の爽快な曲も、上空の青色も、
このときの僕をより遠くの非日常へと連れて行く気がする。


右翼後部に席を指定された機内からは、富士山がよく見えた。
そして、友人の誘いで東京最後の年に御来光を見ようと登山したことを思い出した。
僕はあの頂上を一度経験しているのに、機内からは不思議と実感は湧かない。


富士山を見下ろしながら頭を過るのは、あの登山直前に車で聞いていた曲のこと。
その爽快感がkillersに似ていたから、学生の当時にフラッシュバックする。
音楽は体験に馴染んで記憶となる、そう思っている。
だからこれからも僕の経験するフライトでは、このようなことが起きるのかもしれない。


そんなことをひとり考えているうちに、伊丹の街並みが見えてきた。
国内のフライトは短時間で僕を呑み込み、あっという間に旅人の気にさせてしまう。
僕は初めて降り立った伊丹空港で、妙に清々しい気分になっていた。


Cely

Zooeyにやられた週末




minovskyとCelyの2人が大阪で楽しくハッスルしていると思われるこの週末。
ひとり蚊帳の外のボクは自宅にこもって映画を観ていた。
(今頃、スーパーやすしくんと化したCelyはたくさんの人達に迷惑をかけ、美濃がそのフォローに奔走していることだろう。)

たまたま観た二本の作品、「500日のサマー」と「イエスマン」は、
いずれもヒロインがズーイー・デシャネルだったのだが、
その可愛さにズキュンとやられてしまった。
欧米人ニューロンが未熟なボクの脳ミソにも、彼女の顔はしっかりインプットされたはずだ。

Zooey Deschanel。
カタカナ表記としてはズーイーかゾーイのどちらかになるそう。
よくよく調べると、近頃ちょいちょい名前を耳にするユニット、「She & Him」のメンバーでもある。
ちなみに1980年生まれで、ボクと同い年だ。




とりあえずShe &HimのアルバムをAmazonでポチっとしてみようかな。


nacca



| 1/2PAGES | >>

SEARCH THIS SITE.

PROFILE

MEMBER'S POSTS

MEMBER'S LINKS

RECENT POSTS

ARCHIVES

RECENT COMMENT

OTHERS

MOBILE

qrcode

SPONSORED LINK


COPYRIGHT (C) 2011 woaky All Rights Reserved.